後遺障害とは

1.後遺障害とは

症状固定後に残存した症状のことを言います。

つまり治療をしてもこれ以上改善しないという状態になったときに残った症状です。

後遺障害がのこった場合は医師に「後遺障害診断書」を作成してもらいます。そしてこの「後遺障害診断書」に基づき損害保険料率算出機構が「後遺障害等級」を「認定」することとなります。

この「後遺障害等級」とは以下の通り1級から14級まであります。後遺障害は残ったものの前記の等級にあたらない場合もあります。この場合は「非該当」という認定がなされることとなります。

後遺障害等級表/労働能力喪失率表(平成22.6.10以降発生した事故に適用)

別表第1(第2条関係)
等級 介護を要する後遺障害
第1級 1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 

2.胸腹部臓器の機能に著しい傷害を残し、常に介護を要するもの

第2級 1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 

2.胸腹部臓器の機能に著しい傷害を残し、随時介護を要するもの

別表第2(第2条関係)
等級 後遺障害
第1級 1.両眼が失明したもの 

2.咀嚼及び言語の機能を廃したもの

3.両上肢をひじ関節以上で失ったもの

4.両上肢の用を全廃したもの

5.両下肢をひざ関節以上で失ったもの

6.両下肢の用を全廃したもの

第2級 1.1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの 

2.両眼の視力が0.02以下になったもの

3.両上肢を手関節以上で失ったもの

4.両下肢を足関節以上で失ったもの

第3級 1.1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの 

2.咀嚼又は言語の機能を廃したもの

3.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

4.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

5.両手の手指の全部を失ったもの

第4級 1.両眼の視力が0.06以下になったもの 

2.咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの

3.両耳の聴力を全く失ったもの

4.1上肢をひじ関節以上で失ったもの

5.1下肢をひざ関節以上で失ったもの

6.両手の手指の全部の用を廃したもの

7.両足をリスフラン関節以上で失ったもの

第5級 1.1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの 

2.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労 務以外の労務に服することができないもの

3.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外 の労務に服することができないもの

4.1上肢を手関節以上で失ったもの

5.1下肢を足関節以上で失ったもの

6.1上肢の用を全廃したもの

7.1下肢の用を全廃したもの

8.両足の足指の全部を失ったもの

第6級 1.両眼の視力が0.1以下になったもの 

2.咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの

3.両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程 度になったもの

4.1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の 距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

5.脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの

6.1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの

7.1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの

8.1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの

第7級 1.1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの 

2.両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を 解することができない程度になったもの

3.1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離で は普通の話声を解することができない程度になったもの

4.神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労 務に服することができないもの

5.胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服 することができないもの

6.1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4 の手指を失ったもの

7.1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの

8.1足をリスフラン関節以上で失ったもの

9.1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

10.1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

11.両足の足指の全部の用を廃したもの

12.外貌に著しい醜状を残すもの

13.両側の睾丸を失ったもの

第8級 1.1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの 

2.脊柱に運動障害を残すもの

3.1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3 の手指を失ったもの

4.1手のおや指を含む3の手指の用を廃したもの又はおや指以外 の4の手指の用を廃したもの

5.1下肢を5センチメートル以上短縮したもの

6.1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

7.1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの

8.1上肢に偽関節を残すもの

9.1下肢に偽関節を残すもの

10.1足の足指の全部を失ったもの

第9級 1.両眼の視力が0.6以下になったもの 

2.1眼の視力が0.06以下になったもの

3.両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

4.両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

5.鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの

6.咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの

7.両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解する ことができない程度になったもの

8.1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程 度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声 を解することが困難である程度になったもの

9.1耳の聴力を全く失ったもの

10.神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる 労務が相当な程度に制限されるもの

11.胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が 相当な程度に制限されるもの

12.1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの

13.1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以 外の3の手指の用を廃したもの

14.1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの

15.1足の足指の全部の用を廃したもの

16.外貌に相当程度の醜状を残すもの

17.生殖器に著しい障害を残すもの

第10級 1.1眼の視力が0.1以下になったもの 

2.正面を見た場合に複視の症状を残すもの

3.咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの

4.14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

5.両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解する ことが困難である程度になったもの

6.1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程 度になったもの

7.1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの

8.1下肢を3センチメートル以上短縮したもの

9.1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの

10.1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

11.1下肢の3大関節の1関節の機能に著しい障害を残すもの

第11級 1.両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの 

2.両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

3.1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

4.10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

5.両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することがで きない程度になったもの

6.1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を 解することができない程度になったもの

7.脊柱に変形を残すもの

8.1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの

9.1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの

10.胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度 の支障があるもの

第12級 1.1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの 

2.1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

3.7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

4.1耳の耳殻の大部分を欠損したもの

5.鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残す もの

6.1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

7.1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

8.長管骨に変形を残すもの

9.1手のこ指を失ったもの

10.1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの

11.1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を 失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの

12.1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの

13.局部に頑固な神経症状を残すもの

14.外貌に醜状を残すもの

第13級 1.1眼の視力が0.6以下になったもの 

2.正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

3.1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

4.両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

5.5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

6.1手のこ指の用を廃したもの

7.1手のおや指の指骨の部を失ったもの

8.1下肢を1センチメートル以上短縮したもの

9.1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの

10.1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足 指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃し たもの

11.胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

第14級 1.1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの 

2.3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

3.1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することがで きない程度になったもの

4.上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

5.下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

6.1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの

7.1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することが できなくなったもの

8.1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの

9.局部に神経症状を残すもの

10.男子の外貌に醜状を残すもの(※)

備考
①視力の測定は、万国式試視力表による。屈折異状のあるものについては、矯正視力について測定する。
②手指を失ったものとは、おや指は指節間関節、その他の手指は近位指節間関節以上を失ったものをいう。
③手指の用を廃したものとは、手指の末節骨の半分以上を失い、又は中手指節関節若しくは近位指節間関節(おや指にあっては、指節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう。
④足指を失ったものとは、その全部を失ったものをいう。
⑤足指の用を廃したものとは、第1の足指は末節骨の半分以上、その他の足指は遠位指節間関節以上を失ったもの又は中足指節関節若しくは近位指節間関節(第1の足指にあっては、指節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう。
⑥各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって、各等級の後遺障害に相当するものは、当該等級の後遺障害とする。

(注1)後遺障害が2つ以上ある時は、重い方の後遺障害の等級による。しかし、下記に掲げる場合においては等級を次の通り繰り上げる。
①第13級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは、重いほうの後遺障害等級を1級繰り上げる。ただし、それぞれ後遺障害に該当する保険金額の合算値が繰り上げ後の後遺障害の保険金額を下回る場合は、その合算値を保険金額として採用する。
②第8級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは、重いほうの後遺障害の等級を2級繰り上げる。
③第5級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは、重いほうの後遺障害の等級を1級繰り上げる。

(注2)既に後遺障害のある者がさらに同一部位について後遺障害の程度を加重したときは,加重後の等級に応ずる保険金額から既にあった後遺障害の等級に応ずる保険金額を控除した金額を保険金額とする。

2.後遺障害等級が認定されると?

後遺障害等級によって、「逸失利益(労働能力喪失割合)」「後遺症慰謝料」の基準が異なってきます。

例えば、Aさん(男性、症状固定時40才、年収500万円)の方が事故にあったとして弁護士会基準で逸失利益と後遺症慰謝料を算定してみましょう。

後遺障害等級5級と認定された場合

  • 労働能力喪失割合 79% ・・・とすると、逸失利益は? およそ5800万円
  • 後遺症慰謝料 1400万円

後遺障害等級7級と認定された場合

  • 労働能力喪失割合 56% ・・・とすると、逸失利益は? およそ4100万円
  • 後遺症慰謝料 1000万円

実際の事例では様々な修正要素がありますが、後遺障害等級の認定結果によって「逸失利益」「後遺症慰謝料」が大きく異なってくることがお分かり頂けると思います。

3.損害保険料率算出機構の後遺障害等級の認定と裁判

自賠責保険における後遺障害等級の認定結果はその後の損害賠償請求に大きな影響をもたらします。示談交渉でも裁判でも同じです。よってこの認定結果に不服がある場合には「異議申立」をすることができます。もっとも、裁判所は損害保険料率算出機構の下した等級認定に拘束されることはありませんので、異なる判断がなされることもあります。